東京都公立中学校で、一英語教師として定年一杯、楽しく授業に臨んだ。
楽しいといいながら、辛い日も当然あった。八十歳の今では、それもまた
懐かしい。
ある日のこと、一年生の教室に入り挨拶をして授業に入ろうとした
その時、ハッとした。右側一番前に座っている体の大きな男子生徒、
机の下から足を投げ出し寝ている。起こす? 注意する? 叱る?
授業の初めに怒ったら、授業の雰囲気は最悪だ!彼は授業中ずっと、
あくびをしたり、だるそうに机に突っ伏したり。次の日の授業も彼の
態度は同じ。そんなに授業が退屈なのだろうか?
悩みに悩んだ!3分でもいい、5分でもいい。彼が目を輝かせてくれる
ような授業方法はないだろうか?
ここで考案したのが、「LET'S ENJOY BINGO」である。
ガリ版で作成し、謄写版で印刷したものを持って、授業に臨んだ。
例の生徒がだんだん乗ってきた。授業の初めに、帯学習として、
毎時間行った。彼は目を輝かせて、活動に参加してくれるようになった!
確かに「必要は発明の母」である。授業でも、困った時こそ、
新たなアイデアが浮かんでくるものである。
数社の出版社から、出版の話が舞い込んだ。現在、全国の中学校で、英語の授業に
使われている「LET'S ENJOY BINGO」の誕生秘話である。
私は「おさビンゴの守」と渾名された。両親が伯耆の国、鳥取県の米子出身である。
伯耆の手前の備後でも、まーいいか。
|