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8月15日 (木)
11時のバスでいよいよストーンヘンジへ。ここイングランドの南西部も、
今まで回ってきた北部と同じ、素晴らしい田園風景だ。
こげ茶の麦畑と緑の草原の中に、遠目にも見える。サークル状に石が
佇立している。何個あるのだろう。蓋をした格好で乗ってる石もある。
ストーンヘンジについて最初に知ったのは、”テス オブ ザ ダーバヴィル。”
その後映画化されて、画面でしっかり見た。朝日がきらりと光り、沈黙した石達が
印象的だった。石の周りにロープが張られ、石から10mほどより中には入れず、
ロープに沿って一周するようになっている。12時のバスまで40分足らず。一周する
のは止めにした。見渡す限り緑一面の中に、やや灰色っぽく見える太古の
巨石。眺める位置によって、その表情が変わる。何とも素朴なたたずまいが人を魅了する。
バスを下りてチケットを買って絵看板の順路に沿って、宇宙時代から中世へ、太古へ、と歩を進めるのだが、
来る時はあまり感じなかったが、帰りは太古から現代へ生還といった、一種のけだるさを覚えた。(中略)
バスの車窓から次第に遠ざかる石達は、だんだん小さくなって、時がゆったり流れる野っぱらで、かくれんぼか鬼ごっこでもして、
無邪気な笑い声さえ聞こえてきそうな光景だった。(紀行文 イギリスの旅より)
私が一人旅でここに来たのは1978年。駅からタクシーで来たのだが、チケット売り場もなければ、ロープもなかった。
勝手にあちこち腰掛けては感慨にふけった。
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