伊藤先生と松山氏のお陰で今回も書の展示をすることができた。展示はそのままにして
イタリア各地を回ることにした。ちょうどヨーロッパを旅していた次女一行とミラノで合流し、
ゴシック建築の最高傑作ドウオーモを一緒に見学した。
9月26日(金)
ミラノ発9時20分、急行列車で約6時間、ローマへ行く。1等車に落ち着き、旅行のガイドブックを
読む。窓際へ移動し、荷物を上の棚にのせ、妻にもバッグを肩から外すよう促した。
真下の折り畳みテーブルは自分で引き出すようになっていた。なかなかうまくいかない。4~5人が
ぐるりと取り囲み手伝ってくれた。妻の足元に何かが転がって、彼女は立ち上がり、私に力をかして
テーブルを引き出した。ハッと思った瞬間、バッグがない。男たちも消えていた。慌てて跳び下り、
後を探したがもうわからない。列車は動き出そうとしている。車掌に促され慌てて飛び乗った。
妻は「棚の荷物を下ろし、自分も下りようかどうしようか瞬時の判断が出来ずにいた時、
同じ車両に乗り合わせた日本人の学生らしき2人が、駆け付けて荷物を見ていてくれたので、
乗車口のところでホームを探していた」と話した。やがて列車は動き、車掌がやって来た。
切符代わりのメモをくれて、ローマに着いたら駅構内の警察に行くようにと言った。(後略)
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