2004年 ポルトガルの旅 3

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    9月15日 (水)
   昨日調べておいた14番のバスでバスターミナルへ直行。エヴォラ行きの切符を買った。一人12ユーロ。これから
  4時間15分のバスの旅。Leiria,Fatima,Santarem,Coruche,Montemor Novoを経由して、緑の田園風景の中、エヴォラ
  には午後1時45分に着いた。ローマ時代の城壁に囲まれた旧市街まで石畳の上をごろごろとカートを引く。ホテルは
  4つ星のリビエラに決めた。天井の高い綺麗な部屋だ。窓の下は修道院に通じる狭いが賑やかな通り。ジラルド広場で
  遅い昼食をとった。ローマ時代、中世、現代まで生き続けた博物館のような街とガイドブックにある。
  確かに街はどこをとっても絵になる。カテドラルへ。1584年にこの地を訪れた天正少年遣欧使節の、伊東某と千々石某
  の二人がパイプオルガンの演奏をしたという。パイプオルガンはルネッサンス時代のもの。その昔ここで日本人が演奏
  したとは。ロイオス修道院、デイアナ神殿、遠くに見えるローマ時代の水道橋。そよ風がすがすがしい。
  ゆったりのんびり散策を楽しんだ。

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  9月16日 (木)
   12時のチェックアウトまでのんびり散策。カートを引いて鉄道駅へ。リスボン直通かと思ったが、Casa Blancaと
  Penhanha Novo で2度も乗り換え。着いたバレイロ駅はテージョ川の対岸だ。河口を渡るフェリーで30分、テレイロ 
  ド パソ駅へ。川からリスボンに入るのだ。ローカル線はのんびり走り、フェリーもなかなか快適で、川から見る
  リスボン市街は堂々と威厳があった。
   ルーア ダ プラッタの商店街を歩くと、妻は金細工のフィリグラーナに気をとられて、なかなか先に進めない。
  どんどん時間が過ぎてしまった。ロシオ駅から地下鉄でカンポ グランデ駅へ。ここからオビドス行きのバスが出る。
  バスは出たばかりで、次は2時間後の7時だ。別のルートのバスはどうか。地下鉄で4つ戻り、サルダーニャへ。
  大型バスターミナルがあり、人々でごった返している。チケット売り場は長蛇の列。やっとチケットを手にした
  のは、出発5分前。さあ、どのバスだ?あっちに走り、こっちに走り。人に聞くのだが全くお手上げ状態。時刻は
  とっくに過ぎている。最後に聞いたのが、何とオビドス方面に行くバスだった。最後の最後に乗り込んでやっと座れた。
  バスの終点はカルロス ド ライーニャ。ここからタクシーで10分ばかり。で、タクシーは?駅員に聞いたが、首をかし
  げている。もう8時を過ぎている。この街でホテルを探そうか?ふと2台の車が目についた。この国のタクシーを表す
  「A」という字がドアについている。やっぱりタクシーだった。バスで来た時、はるか左手の丘に城壁が見えたが、
  それがオビドスだった。

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    9月17日 (金)
   午前中城壁内を歩いた。ローマ時代に海からの敵の侵入を防ぐ為、
  砦が築かれたそうな。四方が見渡せる好立地だ。
  その後、イスラム教徒の征服、アフォンソ エンリケスによる奪還。
  各地の歴史がここにもある。代々の王妃の直轄地で、今なお中世の
  たたずまいを残しているとのこと。
   ホテルのフロントでバスの時刻を訊いた。ここを出発するバスは、
  時間が合わない。昨日来た時と同じように、またタクシーでカルロス
  ド ライーニャに行くことにした。
  午後1時発、荷物をバスのトランクに入れ、コンピューターの入った
  リュックサックを網棚に載せた。リスボンのサルダーニャまで1時間10分。
  あまり混んでいない。時々居眠りしながら、あっという間に着いた。
  荷物をトランクから取り出してもらい、地下鉄でロシオ駅に行き、

  シントラ行の電車に乗った。綺麗な電車だった。あと6つ位でシントラに着く。あっ リュックがない!バスの網棚だ!
  一瞬顔が青ざめた。電車が停まると、反対側のホームに駆けて行き、自販機で切符を買った。来た電車に飛び乗った。ところが
  その電車はロシオ行きではなかった。気がついて下りた駅はエントレカンボス。ロシオ駅に帰るにはどの電車に乗ればよいか、
  人々に聞いたが、誰も答えない。こちらの言うことがわからないのだろう。
  地下鉄がありそうなので、駅から出た。地下鉄駅はカンポ ペケーノ。何とサルダーニャはこの次だ。計らずも最短距離。
  狐につままれた思いだ。バスターミナルに行った。若いスタッフがバスの運転手に連絡を取ってくれたが、通じなかった。
  そのバスが一往復してくるのが8時。その時間に来るか、電話で問い合わせてくれとのこと。
   今日のシントラ行きは止めにした。見つけやすいホテルを地図上に探した。カンポ ペケーノの駅近くのHoliday Inn.
  ホテルに入ったのは4時半過ぎ。コンピューターはない公算が多いことから、その際の対応などいろいろ考えた。この
  ポルトガル旅行の後、スペイン ハエンで展示をすることになっている。その時にパワーポイントの説明で使うコンピュ
  ーター。それがなかったら…しばらく思考が止まってしまった。
   8時に再びバスターミナルに行った。例のスタッフが手を挙げて言った。運転手と連絡がつき、コンピューターの入った
  リュックサックを保管したと連絡があったと。思わず握手しながら涙が出そうだった。
    
 

ポルトガルの旅 4