2000年 北欧の旅 3 フィンランド

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    9月17日 (日)
   トウルクで1泊。荷物をフロントに預けて、アウラ川沿いの道を
  強歩。30分でトウルク城へ。フィンランドを統治したスウェーデン
  王の城塞で誠に堅固な造りだ。古城は今は歴史博物館となっている。
  当時のコスチュームを着た女性が、城内あちこちに立って、案内に
  当たっていた。調度品が数多くあったが、当時の貴族の服装は
  興味深かった。30分の見学後、またもと来た道を引き返した。
  今度は大聖堂を目指す。秋空はあくまで青く高く、木立は緑と黄色、
  建物に絡まる蔦は真っ赤、低い茂みにも赤やピンクの花が揺れている。
  川の水は澄んで、小舟がゆらりゆらり繋がれていた。日曜とあって、
  犬を連れた人達が散策している。あまりに素晴らしい道なので、
  写真を撮ったり、ビデオを撮ったり、強歩にならない。
  大聖堂は川を渡った所にある。入ってみると、ミサが行われていた。

   オルガンが響き、牧師さんが説教台で話をしていた。そーっと出て、広場に向かった。市が立って、大賑わい。
  自家製のパンとかジュースとか野菜とか、小さな屋台が沢山出て、周りを人が囲んでいる。大きなウィンナー、
  揚げた魚、ドーナツ、オムレツ、それにコーヒー。傍の材木に腰掛けてあつあつをほおばった。(中略)

   2時8分の City Rink でヘルシンキへ。2時間の列車の旅。広々とした牧草地や麦畑、点々と家がある。
  木立がある。どこをとっても美しい。ヘルシンキの駅に下り立つと矢印でホテル案内へ誘導される。ホテル名が
  ずらりと並んで自分でプッシュ。ラジソンSASに予約、4泊とった。(後略)
   

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  9月18日 (月)
   バルト三国(エストニア、ラトビア、ルトアニア)のうち、エストニアはヘルシンキの対岸で、ビザ無しで行ける。
  首都はタリン。リンダライン エクスプレスという高速艇がヘルシンキ―タリンを1時間半で結んでいる。船着き場から
  旧市街は歩いて20分。古びた石畳、街並み、そして城壁、歩くほどに中世にタイムスリップしたようだ。ノスタルジアをそそる。
  旧市庁舎はすぐに見つかった。シンボルの「塔のてっぺんの旗を持った兵隊」を探せばよい。前の広場がこの街の中心だろう。
  博物館を探したが、どうも地図どおりに歩けない。どの路地も同じ顔をしているし、下がっている看板は文字が読めない。
  聞きたくても、大体人がいない。諦めてどんどん坂を上った。いつの間にか丘の上のトーンベア城に来ていた。方角がわからず、
  やっとのことで見晴らし台にたどり着いた。そこから眺める旧市街は美しい。白壁の丸い小さな塔、赤茶色のとんがり屋根が
  高く低く続いている。街並みの向こうは紺碧の海。鉄柵に頬杖ついて、いつまでも眺めた。まるでおとぎの国にいるようだ。
   坂道の途中のカフェでランチ。午後はラエコヤ広場周辺のお店を覗いた。とある路地は手編みセーターのオンパレード。
  高い小屋掛けが幾つも並び、どの小屋も上から下まで小屋いっぱい、全部手編みセーター。なぜか男たちが売っている。
  何気なく見ていくうちに、一つお気に入りが見つかった。黒地に白い点々は雪で、胴と腕はトナカイ模様。ざっくり編んで
  気持ち良さそうだ。がさ張りそうだが、買った。(中略)
   6時に船に乗り込んだ。ヘルシンキには時差1時間を含めて8時半到着。

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     9月19日 (火)
   10時頃ホテルを出る。バス、トラム乗り放題の city card を買って、市内見物。まずマーケット広場。波止場の市を見て回る。
  オレンジや白のテントが並んでいる。花の鉢がいっぱい。そして安い。ワゴンにTシャツだの、ハットだの、バッグだの山積みされて
  いる。右手に長く伸びるレンガ造りの古風な建物も市場で、通路を挟んだ両側に小さなお店がぎっしり並んでいる。魚屋さんの大きな
  魚が目をひく。
   波止場の向こうに建つ、赤レンガ造りの教会がウスペンスキー寺院。丘の上に建つヘルシンキ大聖堂は青い屋根のドームに白亜の建物。
  石段を上って景色を見下ろす。シベリュース公園に行くのに、24番バスがわからず、違うバスに乗って一回り、眠ってしまった。
  シベリュース公園は海沿いの広い公園で、木立に囲まれている。入るとすぐに大きなステンレスパイプのモニュメントが目に付く。
  パイプオルガンのイメージとか。少し離れた御影石の上に、シベリュースの頭部のオブジェがあった。
  シベリュースと言えば、交響詩「フィンランディア」だ。たった10分の短い演奏なのに、氷を割るような重々しい出だしと中程のえも
  言われぬきれいな旋律。「スウェーデンやロシアの圧政下を生き抜いたフィンランドの苦難と独立を物語る」とCDカバーにはある。
  こうして記念公園のベンチに腰を下ろし、穏やかな海を見ているが、サンタクロースやムーミンの明るいイメージの蔭に、歴史的な
  一面があったことを、失念していた。そうした歴史はどの国にもあって、今でも圧政下で苦しんでいる人は大勢いる。旅の途中で
  考えさせられたことだった。

北欧の旅 4